李徳全の慈愛と民間の信念が築いた、日中交流の原点。新たな貿易へと導く意思。

李徳全の慈愛が民間交流の礎に

戦後の混乱の中、多くの日本人が中国大陸に取り残され、孤立していました。そんな中、**中国の女性政治家・李徳全(り・とくぜん)**は、自らの信念と慈愛の心をもって、日本人の帰還支援に尽力しました。1940〜50年代、引き揚げ援助運動の先頭に立ち、満州などに取り残された多くの日本人婦女子や孤児の保護と帰国を実現させたのです。

彼女の行動には、報復や敵意ではなく、深い人道主義と母性に根ざした慈しみがありました。それは、「平和」とは国家間の条約だけでなく、人と人との間に築かれる信頼と想いによって実現されるという真実を体現しています。

このような李徳全の姿勢が、後の廖承志(彼女の息子)らが推進した「LT貿易」や日中友好協会の礎となり、政治の枠を超えた民間レベルでの交流の道を切り拓いていきました。

私たちが現代において取り組む「日中平和友好記念プロジェクト」や「新時代のLT貿易」は、まさにこの系譜の中にあります。制度や関係が整っていなくとも、人の意志と共感があれば、交流も経済も文化も、発展させることができるという証がそこにあります。

今こそ、李徳全の慈愛と平和への思いに立ち返り、日中の若い世代や市民、中小企業同士が対話し、支え合い、未来に続く共生の道を切り拓いていく時です。

その「想いの継承」こそが、今回のプロジェクトの真の目的であり、民間が担う外交の可能性を再び世界に示す第一歩となるでしょう。